紅葉、黄葉、褐葉のメカニズム

秋といえば、紅葉の季節ですね。

 

盆栽が赤や黄色に色づく様は、
自然の芸術といえるでしょう。


ところで 葉っぱが色を変えるのは
なぜだか、ご存知ですか?


「紅葉」とひとくくりにされがちですが、
実は、葉っぱの色づき方には、以下の3種類があるんですよ。

赤色に変わる「紅葉」

黄色に変わる「黄葉」

茶色に変わる「褐葉」

 

今回は、それぞれのメカニズムや、
より美しく紅葉するための条件について
解説していきます。


なぜ葉っぱは色を変えるのか?


植物の葉っぱが緑色に見えるのは、
「クロロフィル」という色素が含まれているからです。


クロロフィルは、植物が光合成を行うために
必要な物質で、太陽の光を吸収して、
水と二酸化炭素から栄養分を作り出す役割を担っています。


秋になり、気温が低下し日照時間が短くなると、
葉っぱは冬支度を始めます。

葉っぱと枝の間に「離層」と呼ばれる壁が作られ、
葉っぱへの水や養分の供給が徐々に断たれていきます。


そして、老化した葉への太陽光の影響で活性酸素が
生じ、活性酸素によりクロロフィルが分解されます。

 

緑色をしたクロロフィルが分解されるのと同時に、
今まで隠れていた色素が目立つようになったり、
新たな色素が作られたりすることで、
葉っぱの色が変化するのです。

 

その後、葉の付け根の離層が完成することで
細胞のつながりが無くなり、落葉するのが
秋〜冬の一般的な流れです。

 

 

紅葉、黄葉、褐葉の違い


紅葉、黄葉、褐葉の違いを、
それぞれ詳しく見ていきましょう。


1. 紅葉(こうよう)


葉っぱが赤く色づく「紅葉」は、
「アントシアニン」という赤い色素が
新たに作られることによって起こります。


アントシアニンは、葉っぱの中で
糖とタンパク質が結合して作られます。


気温が低くなると、葉の付け根にできた
離層によって、葉っぱで作られた糖が
枝に移動できなくなり、葉っぱの中に糖が蓄積されます。

 

この糖が、アントシアニンの生成を
促進するのです。

 

アントシアニンは太陽光(紫外線)で分解されないため、
紫外線を吸収して
老化した葉のクロロフィルを
紫外線による分解から守っているという説があります。

 

また、新芽が赤い樹種についても、
アントシアニンが強すぎる太陽光から
未熟な葉を守っているとのことです。

 

アントシアニン、大事ですね。

 

紅葉する樹種としては、
カエデ、モミジ、ニシキギ、ドウダンツツジなどが
代表的です。


2. 黄葉(こうよう、おうよう)

 

葉っぱが黄色く色づく「黄葉」は、
「カロテノイド」という黄色の色素が
目立つようになることによって起こります。


カロテノイドは、もともと葉っぱの中に存在していますが、
夏の間はクロロフィルの緑色が強いため、目立ちません。


秋になり、クロロフィルが分解されると、
隠れていたカロテノイドが目立つようになり、
葉っぱは黄色く変化するのです。


黄葉する樹種としては、
イチョウ、ポプラ、カラマツなどが
代表的です。

 

 

3. 褐葉(かつよう)


葉っぱが茶色く色づく「褐葉」は、
「タンニン」という褐色の色素が
葉っぱに蓄積されることによって起こります。


タンニンは、
植物が紫外線から身を守るために
作り出す物質です。


秋になり、クロロフィルが分解されると、
タンニンが目立つようになり、
葉っぱは茶色く変化します。

 

褐葉する樹種としては、
ブナ、コナラ、クヌギなどが
代表的です。


美しい紅葉のための条件

 

美しい紅葉には、 いくつかの条件があります。


昼夜の寒暖差:
昼夜の気温差が大きいほどアントシアニンの生成が促進され、
鮮やかな紅葉になります。


日照:
日光を十分に浴びることで光合成が活発になり、
アントシアニンの生成に必要な糖が作られます。


適度な湿度:
乾燥しすぎると葉が枯れてしまい、
紅葉する前に落葉してしまうことがあります。

 

 

まとめ


今回は、紅葉、黄葉、褐葉の
メカニズムについて解説しました。


今年の盆栽の紅葉はいかがだったでしょうか?

 

メカニズムを知ると、より綺麗に紅葉を
させてみたくなりますね!

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