根がグルグル…!? 「サークリング現象」とは?

「盆栽の植え替えをしたら、根が鉢の中でグルグル巻きになっていた…」

 

そんな経験はありませんか?

 

これは「サークリング現象」と呼ばれるもので、
盆栽の生育を阻害する原因の一つです。

 

今回は、サークリング現象について、
その原因や影響、そして対策方法を

詳しく解説していきます。

 

サークリング現象とは?

 

サークリング現象とは、

盆栽の根が鉢の内側を
ぐるぐると円(サークル)を描くように

伸びてしまう現象のことです。

 

本来、植物の根は、地中深くへと伸びていきます。

 

鉢植えの盆栽の場合、

根が鉢の壁にぶつかると、
そのまま鉢の内側をぐるぐると
回り始めるのです。

 

根の役割は養分や水分の吸収貯蔵と、
地上部の保持です。

 

基本的には吸収貯蔵を若い毛細根が行い、
成長した太根は保持を担当します。

 

サークリングが進むと
鉢内は成長した太い根が占めるようになり、

若い根が減ってきます。

 


盆栽の生育に悪影響が
出てくるのです。

 

 

サークリング現象が起こる原因

 

サークリング現象が起こる原因は、
主に以下の点が挙げられます。

  

    • 植え替えの頻度:植え替えを怠ると、根が成長しすぎて鉢の中がいっぱいになり、サークリング現象が進んだのと同様の状態になります。

 

    • 用土:水はけや通気性の悪い用土は、根の健康的な成長を阻害し、サークリング現象を助長する場合があります。

     

     

    サークリング現象の影響

     

    サークリング現象が起こると、以下のような悪影響があります。

     

      • 根詰まり:根が鉢の中をグルグルと回ることで、根詰まりを起こしやすくなります。

     

      • 養水分の吸収不良:根は毎年、新しい枝根や側根を出します。吸収はその若い根で行われるため、サークリングで若い根が減ると土の中の水分や養分の吸収が悪くなります。

     

      • 生育不良:水分や養分の吸収が悪くなることで、盆栽の生育が阻害されます。

     

      • 根腐れ:根詰まりによって水はけが悪くなると、根腐れを起こしやすくなります。

     

     

    サークリングと徒長の関係

     

    根がサークリングを起こして、
    鉢の中をグルグルと回りながら伸び続けると、
    盆栽の枝も徒長しやすくなります。

     

    徒長とは、枝がぐんぐん間延びして、
    節間が長く伸びてしまうことです。

     

    盆栽の枝は、
    細かく分かれた繊細なものを目指します。


    根と枝の状態は表裏一体と言いますか、
    同じような状態になっています。

     

    根がサークリングを起こすと、
    枝もそれに呼応するよう

    徒長して間延びしてしまいます。

     

    繊細で美しい枝ぶりを
    維持するためにも、

    サークリング現象を防ぐことは重要です。

     

     

    サークリング現象の対策

     

    サークリング現象を防ぐためには、以下の対策を行いましょう。

     

      • 適切な鉢を選ぶ: 樹に対して適切な大きさで十分な量の用土が入る鉢を選びましょう。(薄い飾り鉢、本鉢の盆栽は非常に見応えがありますが、維持することの難しさが想像できます)

     

      • 定期的に植え替える: 根詰まりを起こさないように、定期的に植え替えを行いましょう。

     

      • 適切な用土を使う: 水はけと通気性の良い用土を使用しましょう。

     

      • 根を剪定する: 植え替えの際に、サークリングしている太根をきちんと剪定し、細根の発生を促しましょう。

     

    盆栽とは、鉢という小さな世界で植物を
    生育させ維持します。

     

    植物にストレスがかかりやすい
    という意識をもち、

     

    できるだけ面倒見よく育てることが
    必要でしょう。

     

     

     

    サークリング現象を予防する鉢

     

    近年では、サークリング現象を予防するための
    様々な工夫が凝らされた鉢も販売されています。

     

      • スリット鉢:鉢の側面にスリット(切れ込み)が入っており、根がスリットに到達すると、空気にふれて根の生長が止まる空気剪定(エアープルーニング)効果が起こり、新たな根の発生を促します。

     

      • ルーツポーチ:不織布製の鉢で、通気性と排水性に優れています。根が鉢の表面に到達すると、空気剪定効果によって根の成長が抑制され、サークリング現象を防ぎます。

     

      • ルートプラスポット:プラスチック製の鉢で、鉢に多数の突起があり、根の成長が突起先端に誘導されるようになっている。突起先端には穴が空いており、根が到達すると、空気剪定効果によって根の生長が止まるため、サークリング現象を防ぎます。リンク先は、南榮工業株式会社さんの商品です。

     

     

    いずれも本鉢に入れ鑑賞したい盆栽には
    不向きでしょうが、

    仕立て鉢として培養中の盆栽に使用してみるのも
    良いと思います。

     

     

    ざるを使った培養方法

     

    盆栽の枝数を増やしたり、
    大きく育てたいという場合は、

    ざるを使った培養方法も有効で
    昔から行われています。

     

    ざるは、鉢と比べて通気性が高く、
    根がサークリングしにくいというメリットがあります。

     

    台所用品だと屋外使用に向かず
    紫外線により

    プラスチックが崩壊しますが、
    2~3シーズンは保つでしょうか。

    安価であることはメリットですね。 

     

    また、根の生育状態を
    容易に確認できるという点も、
    ざるを使った培養の利点です。

     

    ただし、ざるは鉢よりも非常に乾燥しやすいため、
    水やり管理に注意が必要です。

     

    水をやり、しっかり乾かす
    このサイクルを早め

    多肥で培養する方法となります。

     

     

    まとめ

     

    今回は、盆栽の根のサークリング現象について解説しました。

     

    サークリング現象は、盆栽の生育を阻害する原因の一つですが、
    適切な鉢選びや植え替え、用土選びなどを行うことで、
    予防することができます。

     

    健やかな根を育てることで、
    盆栽をより元気に、美しく育てることができます。

     

    ぜひ、今回の内容を参考にしてくださいね。

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